『一緒にいるだけでぜんぜん話もしないでのーんびり……あ、それただの昼寝になるコースだ』
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加蓮「…………」ジー
分からないままで悔しいって思いが生まれたから、じっと眺めてみることにした。
いつの間にか、悔しさはなくなっていた。
加蓮「…………」ジー
何しているの?
何にも。
加蓮「…………」ボー
子供みたいな無邪気な笑顔を、頬杖をついて眺める。
楽しそうだね、藍子。
加蓮「…………」
何も言っていないのに、何かが伝わったのかな。
藍子が、またちょっと嬉しそうに笑った。
加蓮「…………」ボー
夏の日のカフェテラスは思ったよりも暑くはない。気温が高いことに変わりはなくても、快適だ。
たまに風が吹いてくれるのが、たまらなく気持ちいい。
加蓮「…………」
ずっと見ていたら、小首を傾げられた。
2回、3回、まばたきをする姿が少しだけ間抜けに見えて、からかい気味に笑ったらますます不思議な顔をされた。
加蓮「…………たはは」
かさり、と葉が揺れる。
頬の汗がくすぐったくて、ハンカチを出すのが少し億劫で、服の袖で拭く。
加蓮「風鈴とか欲しくなるよね。ほら、テレビでやっててさ――」
遠くで何かを書き留める音がした。あぁ、目を遣らなくても分かる。いつもの店員だ。何かハラハラしてたみたいだけど、ケンカはしてないよ?
ああ、それより。また次に来る楽しみが増えちゃった。バレないように口元を隠してみたら。
加蓮「そお?」
隠すとか隠さないとか関係なくて、そしてつられて笑顔が1つ増える。
本当に、笑うことが大好きなんだから。
藍子「それってどういう意味ですか~」
次の言葉はなんとなく分かる。
何かあったって気付いて、それから教えてほしいって言う。
加蓮「藍子風に言うなら、小さな幸せ? こういうのはほら、自分で見つけてこそでしょ」
小さな幸せを独占していたわたしの頃の癖が、まだもうちょっとだけ続いている。
でも藍子は何も言わないで、ゆるやかに目を細めてから、唇に指を置いた。
加蓮「ふふっ」
頬を膨らませながら、またカップへ手を伸ばした隙に。
口角をちょっとだけ上げたのは、見咎められなかった。
藍子「へ? ……あ、店員さんがばれちゃったって顔をしてる。ふふ……♪」
ほらもう、また私の思ったことをそのまま言う。
幸せをわけあったらまた自分に戻ってくる。思えばちっぽけなことかもしれない、けど。
藍子「~~~♪」クルクル
あ、また抹茶ラテをかき混ぜだした。
飲むんじゃなくて、かき混ぜる。……面白いのかな? 聞いてみたいような、見ていたいような。
藍子「~~~♪」クルクル
私だけ手持ち無沙汰だ。何かしてみようか。
コーヒーはもう飲み終えたし、スマフォはちょっと嫌かなぁ。
藍子「~~~♪」クルクル
うん、と背伸びをしたら、夏の空気がいっぱいに入ってきた。
蝉はやっぱり煩くて、風はやっぱり気持ちいい。
藍子「~~~♪」クルクル
……。
…………。
加蓮「…………」
あ、飲み始めた。いっぱいかき混ぜた後には、どんな味になってるんだろう。
気になったけど、美味しそうに飲んでいる藍子の姿を見たら、ちょうだい、という言葉が引っ込んだ。
藍子「~~~♪」ゴク
さあ、どうしよっかな。
外を見てもいいし、藍子を見てもいいし。
加蓮「んー」
お粗末さまでした。
……それはちょっと違うかな?
加蓮「んー……」
訝る目を向けられたら、つい意地悪なことを言いたくなる。
頬を膨らませてわーわー言われて、じゃれついて。そういうのが、最近、とてもとても楽しい。
藍子「見てただけ?」
少しだけ身を乗り出してきた。何か話したい。そんな雰囲気が生まれた。
私はただ見ているだけにした。今日はこうして、ゆっくりしたい気分。
加蓮「どうぞ」
藍子の目は不思議だ。
ふにゃりとしているようで意外と鋭くて、眩しいけれどどこか気高い。
加蓮「…………」ジー
かちゃん、と表の方でドアの音がする。
視線を少し、移してみた。舌の先ほどの冷気が伝わってくる。
加蓮「…………」ボー
涼しいカフェテラスなのに、少し暑くなった気がした。
外とか、暑いし。歩くだけでしんどくなるし。事務所に戻った時とか、すぐにクーラーの温度を下げて怒られる。
加蓮「…………」
じゃあ、私達も中の席に移動する?
違うんだよね、そういうことじゃない。
加蓮「…………」ジー
藍子はさっきより楽しそうにしている。
何も喋っていないし、何もしていないけど。
加蓮「ふぁ……」
さっきのお客さんは……室内の席から出てくることはないみたい。
ここは暑そうに見える? そんなことないよ。もしかしたら一緒にいる人によるかもしれないけど。
加蓮「…………」パラパラ
話したいこと、何かあったっけ。
メニューをぱらぱらめくりながら、のんびりと記憶を辿ってみた。
加蓮「…………」パラパラ
ああ、まぁ、あったような気もするし、なかったような気もする。
いいや、ゆっくりしよ。
加蓮「いーよいーよ。なんにもしてなかったし」
申し訳無さそうな顔は、すぐにへにゃりとした笑顔に変わる。
次第に覗きこむ目になって、私をずっと見ている。
加蓮「…………」ボー
一瞬だけ違う方向から視線を感じた。
店員かなぁ。それとも、店の中のお客さん?
加蓮「…………」ウーン
ここには私と藍子の世界があります。どう見えますか? なんて。
私達、なんにも喋ってないけどね。
加蓮「…………」ボー
今日、カフェに来て、あれこれおしゃべりしていたのは10分くらい。
どちらからともなく何も言わなくなって、何もしなくなって、そんな時間が只々続く。
加蓮「……ふぁ」
話したいことがあって、ここでしか話せないことがるなら、とっても勿体無い時間。
でも、こうして藍子とゆっくり過ごすのも、今だけの時間。
…………。
「わ、もうこんな時間……!? 加蓮ちゃん大変っ、もう7時です!」
「ホントだ、いつの間にこんな時間。ふふっ、私もびっくりした」
「……でも加蓮ちゃん、すごく落ち着いているような?」
「じゃ藍子。晩ご飯を食べて帰ろっか」
「私は……軽めに済ませちゃいますっ」
これは、続いていくなかの、たったそれだけのワンシーン。
おしまい。
読んでいただき、ありがとうございました。
たまにはちょっとだけ後書きを。
いつもお付き合い頂きありがとうございます。コメントを頂いた時なんて気持ち悪いくらいニヤニヤしてます。本当に感謝です。
膝枕編第3話(シリーズ第19話)を書いた時、もうまったく会話なんてしなくていいって関係を描きたくなって。
いつもの雰囲気と文量ではまずできそうにないので、今回、0.5話扱いということでこのような形にしてみました。
私には私の世界がありますけれど、皆さんにもちょっとだけ想像してほしいなって思います。
加蓮と藍子が、一緒にいるところを。楽しそうにしていてもいいし、喧嘩していてもいいし。
そんな想いも込めた、0.5話でした。
では改めて。ここまで読んでいただきありがとうございました。
転載元:「北条加蓮と高森藍子が、静かなカフェテラスで」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1469176424/
SS速報VIPのSS紹介です。
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