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2015 09/09

【デレマスSS】「夏の終わりに」



1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/08(火) 21:02:12.79 ID:TFKAHyBJ0

「秋雨前線の停滞により、今週半ばくらいまでは傘が手放せないでしょう」

テレビの中では、気象予報士がそんな風に天気を告げていた。

――――雨、か。
そういえば、あの日もこんな天気だったな、と、上京したての頃を思い出した。
大学進学を機に上京し、一人暮らしを初めてもう2年目。
慣れない都会暮らしでも、最近では何とかなっている。





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2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/08(火) 21:02:40.30 ID:TFKAHyBJ0


「行ってきます」

誰も居ない部屋に向かって告げ、扉に鍵をかける。
腰まで伸びた髪は、湿気のせいか少しべたついていた。
エレベーターに乗り、鞄の中から髪ゴムを取り出して、首の後ろ辺りで一本にまとめる。
首周りを覆っていた物がなくなったため、少しスースーするが、仕方がない。
地上階に着き、マンションのエントランスから外に出ると、小雨程度の雨がしとしとと降り出していた。
傘と一緒に憂鬱な気分も開く、雨と一緒に流れていってくれたら良いのだけれど。

道行くサラリーマンやOL、学生、皆一様に表情は浮かない。
ともすれば俯いている人も多い。


3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/08(火) 21:03:35.91 ID:TFKAHyBJ0


混雑する駅で、行き交う人の表情は固く、苛立ちを隠さない人もいた。

都心に向かう電車とは逆の方向の電車に乗るため、朝のラッシュで大変な思いをする事はない。
その為、朝は大体座って目的地まで行く事ができる。
座って、携帯を取り出すと、一通のメールが届いていた。

件名には『おはよう』とだけ書いてある。

本文を開くと

『雨で滑りやすくなっているから、出勤の際は充分に気をつけて』


4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/08(火) 21:04:07.30 ID:TFKAHyBJ0


と、私を気遣う内容だった。
こういうマメな所が、実にプロデューサーさんらしいな、と、思わず頬が綻んでしまう。

電車に揺られていると、30分もせずに最寄り駅に到着する。
降りて、改札を抜けた所で、ふと、あの憂鬱な気分が、少し、晴れている事に気づいた。
たった一通のメールで、私の気分を変えてしまうなんて、まるで魔法みたい。

嬉しくなって、携帯を取り出しプロデューサーにメールを送る。

「今駅に着きました。滑らないよう気をつけます」


5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/08(火) 21:04:33.85 ID:TFKAHyBJ0


簡潔に、かつ失礼の無いように。
送信完了の文字を見届けると、携帯を鞄にしまう。
ここから事務所はすぐ近く。

駅を出て傘を差そうとした時だった。

「美波」

突然背後から声をかけられ、振り向くと、プロデューサーさんが立っている。


6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/08(火) 21:05:02.21 ID:TFKAHyBJ0


「プ、プロデューサーさん!? あ、おはようございます!」

まさか駅で遭遇するとは思わず、思い切り慌ててしまった。

「これからご出勤ですか?」

まだ早い時間とはいえ、プロデューサーさんにしては遅い時間なのが少し気になる。

「そういう訳じゃない」

どうやら違ったようだ。
じゃあ、どうしてこの時間に駅に?
そう考えていると、プロデューサーさんは歩き出し、後を追うと駅のロータリーで立ち止まった。

「あっ……」


7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/08(火) 21:05:30.67 ID:TFKAHyBJ0


プロデューサーさんの車が、ハザードランプを点滅させながら停められていた。

「もしかして、迎えに来てくれたんですか……?」

「雨だからな」

そう言うとプロデューサーさんは、そそくさと車内に入っていく。

「ふふっ」

思わず笑みが溢れ、追いかけるように助手席へ。
事務所までの数分間、ひたすら笑顔の私と、対象的なプロデューサーさんの表情。


8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/08(火) 21:07:53.24 ID:TFKAHyBJ0


『秋雨前線の停滞により、今週半ばくらいまでは傘が手放せないでしょう』

天気予報によれば今週半ばまでは雨。
もしかして、このまま雨が続けば、ずっとプロデューサーさんが迎えに――――?

なんて考えたけど、毎日忙しくしているので、それは無理そうだ。
けれど、もしもそうなったら、あの傘を開く時の憂鬱さが、もっと違うものに変わるかもしれない。

なんて、ちょっと贅沢かな?

夏の終わりと一緒に、秋雨前線が届けてくれた、短くも心温まるひととき。

もう少しだけ、このまま。



おしまい


9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/08(火) 21:08:39.00 ID:TFKAHyBJ0

終わりです。

短いですね。

少しでもお楽しみいただけたら幸いです。
それではお目汚し失礼しました。

転載元:【デレマスSS】「夏の終わりに」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1441713732/
SS速報VIPのSS紹介です。


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