2012
05/15
火
1 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/14(月) 22:56:26.81 ID:GMyZmhIj0
私のコンサートに来た人が言った
上手な歌が聞きたいわけじゃない
君の歌には、優しさがないと…
一体優しさってなに?
歌って言うのは、音階通りに歌って、
うまく抑揚をつけそれを聞かせられる
それが一流の歌手じゃない?
その時のさっぱり私には理解できなかった
P「おはよう、千早」
千早「おはようございます」
P「今日は、歌のレッスンだぞ」
千早「わかりました、よろしくお願いします」
P「ああ、まかせとけ」
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2 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/14(月) 22:57:11.48 ID:GMyZmhIj0
今日ももっと上手に歌うためレッスンをする
もっと音程を外さないように、
自然に抑揚をつけられるように
先生「今日もいいわね、すっごく上手よ」
千早「ありがとうございます」
先生「ここまで完璧に歌える子は
そういないですよ、プロデューサーさん」
P「ああ、ですよね、ありがとうございます」
先生はいつもほめてくれる
だけど一向に私の歌を聴いてくれる人は増えない
どうして?私が歌手の中でもうまいはずなのに…
3 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/14(月) 22:57:18.05 ID:nSqpZCVVO
Mr.Children?
5 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/14(月) 22:57:51.06 ID:GMyZmhIj0
P「なあ、千早」
千早「はい?なんですか?」
P「千早は今何のために歌ってるんだ?」
千早「何のためにって…それは、」
それは、なぜかって?
私が歌を歌うのはたくさんの人に聞いてほしいからに
きまってるじゃないですか
私には歌しかないんですから
7 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/14(月) 22:58:26.92 ID:GMyZmhIj0
千早「たくさんの人に聴いてほしいからですよ、
変なこと聞きますね」
P「うん、それでどうしたいんだ?」
千早「えっ?」
P「たくさんの人に聴いてほしい理由があるんじゃないのか?」
あれ…?
そうだ、なんでたくさんの人に聴いてほしいんだっけ?
よくわからなくなっている
なんでだっけ?
私の歌声を聴いてほしいから?
それだけ…?
千早「それは…………わかりません」
P「そっか…、一人でわかろうとしなくてもいいんだぞ」
そう言ってその日はプロデューサーとわかれた
8 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/14(月) 22:59:47.03 ID:GMyZmhIj0
私が歌を歌う理由って何?
そのことを考えると
過去の思い出したくない思い出がよみがえってくる
夜一人で思い出すのは辛いから、
その質問の答えを探すのをやめてしまった
ある日春香とレッスンをしていた
春香「ねぇ〜千早ちゃん助けてー」
千早「どうしたの?」
春香「全然音程が取れなくて…」
千早「いいわよ、それじゃ一緒に歌ってみましょうか」
春香「うん!お願いね!」
9 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/14(月) 23:00:50.92 ID:GMyZmhIj0
たしかに春香の歌を聴いていると音程がずれていたり
曲のスピードにうまくのれてなかったり
技術的にはまだまだ未熟だった
でも聴いていて楽しくなるようなそんな歌
音程がずれていてもリズムがくるっていても
聴いていたくなる
私の歌はどうだろう?
ちゃんと聴きたくなってくれる歌だろうか?
しばらく練習すると春香はずいぶんと改善されたが
ついついやり過ぎて終電がなくなってしまい
春香が帰れなくなってしまったので家に泊めることになった
春香「ごめんねー、千早ちゃん」
千早「いいのよ、気にしないで」
春香「でもまた千早ちゃんの家にお泊りできてうれしいなー」
千早「春香…、ふふっ、
別にいつきてもいいのよ」
春香「ほんとに!?やったー」
10 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/14(月) 23:01:14.71 ID:GMyZmhIj0
春香「お風呂ありがとー」
千早「いいえ、それじゃ寝ましょうか」
春香「うん、今日はありがとね」
千早「私も楽しかったわ、春香とレッスンできて」
春香「えへへ、千早ちゃんって歌の練習はよくしてるの?」
千早「まあ、一応毎日しているわ」
春香「ええー!?毎日って…ほんとに…?」
千早「春香たちと違って、私には歌しかないから」
春香「そ、そんなことないよ!
千早ちゃんはかわいいしダンスだって
私よりうまいじゃない」
11 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/14(月) 23:01:40.06 ID:GMyZmhIj0
千早「ねぇ春香、正直に言ってほしいの」
春香「えっ?」
千早「私の歌を聴きたいと思う?」
春香「も、もちろんだよ、千早ちゃんすっごく上手だし」
千早「違うの…、上手かどうかじゃなくて
本当に聴いていて楽しい?
何度でも聴きたいと思ってくれる?」
春香「そ、それは確かに千早ちゃんの歌は
聴いていてしんみりするような曲が多いから
楽しいとは違うかも…」
千早「いいえ
私が春香の曲を曲を歌ったとしても
聴いている人はたぶん楽しくはないと思う」
春香「千早ちゃん…」
千早「ご、ごめんなさい、春香
………早く寝ましょ、明日も早いわ」
また陰気くさい話を春香にしてしまった
春香もこんなこと聞かれても困るにきまってるのに…
13 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/14(月) 23:06:37.66 ID:GMyZmhIj0
春香「ねぇ、千早ちゃん」
千早「な、なにかしら?」
春香「千早ちゃんは歌を歌っていて楽しい?」
千早「私が歌っているとき……」
私が歌っているときは、いつもうまく歌おうとして
もがいて、苦しくて、つらくて、
でも歌わなくちゃ私が私でいなくなってしまうそんな気がして…
春香「私はね、歌を歌っているときすっごく楽しいんだ!
特にねライブでファンのみんなの笑顔を見ているときが
一番楽しく歌えるの!」
14 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/14(月) 23:06:56.55 ID:GMyZmhIj0
千早「歌うことがすっごく楽しい?」
そんなこともうずっと前に忘れている
優がいた頃はいつもいつも歌ってってせかされて
歌っていたっけ、
あの頃、歌うことはすごく楽しかった
楽しそうに歌うと優が笑って
それをみて私ももっと楽しくなって
どうして今はその延長線上にいられないんだろう?
ずっと優のことから逃げてきたせいかしら
今歌うことに縛られて楽しいとは程遠い
春香「千早ちゃん!どうしたの!?」
千早「は、春香!?」
気がつくと涙が出てきていた
15 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/14(月) 23:07:21.99 ID:GMyZmhIj0
春香「私変なこときいちゃったかな?」
千早「ご、ごめんなさい、なんでもないわ…」
春香「私でよかったらなんでも聞くよ、千早ちゃん」
千早「ありがとう…、春香」
この夜春香に家族とのことを打ち明けた
春香は全部聞いてくれて
私の気持ちがとても楽になった
そのあと春香と話しているうちに
やっとあの時の自分と向き合うことができた
一体なぜ私が歌を歌っているのか
どうしてみんなに聴いてほしいのか
ようやく答えが見つかった気がした
16 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/14(月) 23:07:40.33 ID:GMyZmhIj0
次の日
千早「プロデューサー」
P「どうした?」
千早「私、わかったんです」
P「えっ?」
千早「この前のプロデューサーの質問の答えが…」
P「そうか、じゃあ聞かせてくれるか?」
千早「はい!もちろんです!」
私は聞いている人が優みたいな笑顔になってくれるような
優しい歌が歌いたい
愛する喜びに
満ちあふれた歌を
終わり
17 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/14(月) 23:08:59.89 ID:GMyZmhIj0
終わった
僕の千早のイメージでかいたので
他の思う千早とは違うかもしれません
ミスチルのベストが出たので、優しい歌に沿って書いてみました
18 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/14(月) 23:12:09.86 ID:h0PBUD5M0
乙。いい話だ
21 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/14(月) 23:18:02.91 ID:LiOvS5em0
シンプルでいいね。乙
ちーちゃんええ子や
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13220
▼返信コメ
ミスチル、と言うか桜井も歌が他の歌手やバンドより抜きん出て上手いわけじゃないが、
全力で自分の気持ちを伝えようとしてるように感じるから大衆に受けてるんだろうな
そういう意味でもタイトルに沿った良いSSだった
全力で自分の気持ちを伝えようとしてるように感じるから大衆に受けてるんだろうな
そういう意味でもタイトルに沿った良いSSだった
[ 2013/01/06 05:33 ]
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アニメ20話で千早のゴシップ記事が書かれなかったIFストーリーって感じかな?