2013
08/29
木
24 : ◆E31EyGNamM [saga] :2013/08/27(火) 23:23:24.13 ID:IIFxKxT5o
第二十七夜 供物
茄子「さて、それでは、今日もアイドル百物語へと参りましょうか」

ほたる「ええと……今日はなんでも『こっくりさん』のお話だとか?」

小梅「そう。こっくりさん」

茄子「懐かしいですね。私の場合、流行ったのは小中学生の頃でしたが……」
ほたる「私も……小学生の頃……。ただ……」
小梅「ど、どうしたの?」
ほたる「いえ……。私が参加すると、いつもなんだかおかしな結果が出てしまって……。そのうちあまり呼ばれなく……」
茄子「ああ、それは私もですね」
ほたる「茄子さんもですか!?」
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25 : ◆E31EyGNamM [saga] :2013/08/27(火) 23:25:30.57 ID:IIFxKxT5o
茄子「はい。私の場合、そもそもこっくりさんが……なんて言うんでしょう。降りてこない? そんな感じで」
ほたる「なるほど……」
小梅「じ、実際、うまく行かないことは……よくある。それに、うまく行っても参加者が変になっちゃったり……」
茄子「うちの学校でも、集団ヒステリーを誘発すると禁止されてましたねー」
ほたる「先生たちがだめって言ってもやってる子たちもいましたけど……」
茄子「なにか惹きつけるものがあるんでしょうねえ」
小梅「……不思議なこと……たとえば鉛筆や十円玉が自分の意志とは離れて動いたりする……。そのことを共有するのは、きっと……魅力的」
茄子「なるほどー」
小梅「でも……それで根を詰めすぎておかしくなってしまうのは……だめ」
ほたる「そうですね。気をつけないと……」
茄子「ところで、今日はどなたから、こっくりさんのお話を?」
小梅「さっちゃん……じゃなかった。えと、輿水幸子さん」
茄子「ああ、近頃、ユニットで一緒の……」
小梅「うん。仲良くしてもらってる」
ほたる「それでは、輿水幸子さんのお話、お聞きください」
26 : ◆E31EyGNamM [saga] :2013/08/27(火) 23:26:05.17 ID:IIFxKxT5o
27 : ◆E31EyGNamM [saga] :2013/08/27(火) 23:27:25.70 ID:IIFxKxT5o
こんにちは。
今日も真っ白でカワイイですね、小梅さん。
もちろん、ボクには……え? プロデューサー、うるさいですよ。
まあ、いいです。話を進めましょう。
怪談でしたよね?
ええ、わかりました。
では、行きますね。
小梅さんは、もちろんこっくりさんは知っていますよね?
へえ、エンジェル様とか、キューピッド様とかも言うんですか。
え?
こっくりさんが禁止される学校が多かったので、言い換えが流行った?
なるほど、ずるい手口ですね!
ええと、それはともかく、これは少し前……ボクがまだ中学一年生の頃のことです。
28 : ◆E31EyGNamM [saga] :2013/08/27(火) 23:30:19.87 ID:IIFxKxT5o
友達の一人がそういう……オカルト全般にかぶれちゃいまして。
とは言っても、せいぜいタロット占いとか、そういったものを披露して楽しんでいるという程度ですけれどね。
ただ、その友達は困ったことに、こっくりさんをよくやりたがったんですよ。
ボクたち友達を巻き込んでね。
もちろん、元々そういうことに興味ある子もいましたし、適当に参加していたようなんですが……。
だんだん……なんて言うんですかね、取り憑かれたようになって、毎日毎日こっくりさんを主催するようになったんですよ。
それでも、別に嫌がられるでもなく、参加する人はいたんです。
ええ、ボクもたまに参加してましたよ。
放課後に時間があるとき限定ですけど。
質問の内容とかは本当にどうでもいいことばかりでしたね。
ただ、その主催している友達は実に楽しそうでした。
ところが、学校のほうで、こっくりさんを禁止にするって話になったんですよ。
小梅さんが言うように、禁止する学校は多いみたいですからね。
29 : ◆E31EyGNamM [saga] :2013/08/27(火) 23:31:58.18 ID:IIFxKxT5o
ただ、そうなると毎日こっくりさんを主催していた彼女としては面白くない。
かといって、禁止されているのにそれを無視して参加するほど、周りの子たちは夢中ってわけでもない。
だから、彼女は……実際に禁止される前に、『最後のこっくりさん』をやろうとしました。
そこに、ボクも呼ばれたわけです。
その『最後のこっくりさん』は、大がかりなものでした。
いえ、大がかりといっても、人数が多いとかではなく……。
何というのでしょう。儀式がかった……そういう感じですかね。
こっくりさんで使う紙もこれまでは、ただの適当な紙に、ペンで書いていんです。
ところがそのときは、たいそうな和紙に墨で書いていましたっけ。
墨も特別なもので、その上、主催者のつばが練りこんであったとか……。
不気味ですが、まあ、そういうものなんでしょうねぇ……。
後はどこかの神社の鳥居の写真なんかも飾っていましたっけか。
さすがに鳥居のミニチュアを用意するのは無理だったみたいですよ。
ともかく、そんな風にいろいろと小道具を用意して、最後のこっくりさんは始まりました。
30 : ◆E31EyGNamM [saga] :2013/08/27(火) 23:34:50.04 ID:IIFxKxT5o
ボクたち参加者は、また大げさなことをと思いながら、彼女の言うとおりにしました。
東西南北をしっかり拝んだり、いろいろとです。
始まってみれば、いつもと変わらず、大したこともなく、たわいない質問にそれなりの答えが返ってくるというものでした。
ただ……。
しばらくしてから、主催者の女の子の様子がおかしくなり始めたんです。
ずっと下を向いてぶつぶつ言っていて……。
周りは彼女に怖いからやめてくれと言ったんですが、聞こうとしない。
それどころか、ボクたちが指を置いている十円玉の動きもめちゃくちゃになり始めました。
ぐるぐると円を描くようなその動きはどんどんと激しくなり、ボクたちは呆然と自分の指が乗る十円玉を見ることしか出来ませんでした。
指を離せばよかったんじゃないか、と思い返して考えることはあります。
でも、誰もそんなことはしなかったし、出来なかった。
なぜか、十円玉は吸い付くようにボクたちの指を離さなかったんです。
31 : ◆E31EyGNamM [saga] :2013/08/27(火) 23:36:12.16 ID:IIFxKxT5o
そうこうする内に、まるでなにか獣が絞め殺される時のような声が、聞こえました。
それは、主催者の女の子の喉からほとばしる悲鳴です。
先ほどまでうつむいていた彼女が体をのけぞらせ、顔を天井に向けて、甲高い悲鳴を放っているのです。
ボクたちはパニックになりました。
一体なにが起きているのだと。
けれど、そうなっても、ボクたちは席を立ちません。
いえ、立てませんでした。
相変わらず十円玉から指が離せなかったんです。
そうして、主催者の女の子が悲鳴を上げ続ける中、十円玉は動き始めます。
先ほどまでのめちゃくちゃな動きとは明らかに違う、明確な意志を持って。
32 : ◆E31EyGNamM [saga] :2013/08/27(火) 23:37:19.51 ID:IIFxKxT5o
『お・ま・え・た・ち・は・わ・が・く・も・つ』
そう、十円玉は綴りました。
『ぜ・ん・い・ん・い・け・に・え・に・す・る』
供物。
生贄。
そんな単語を読み取ったボクたちは、顔を見あわせました。
そして、その顔色を見れば、皆が――もちろん、悲鳴を上げ続ける彼女は別として――その内容を理解したと、如実にわかります。
友達のおびえた表情を見た途端、ボクはかっとなりました。
33 : ◆E31EyGNamM [saga] :2013/08/27(火) 23:38:38.36 ID:IIFxKxT5o
供物ってなんですか!
生贄ってなんですか!
ボクの大事な友達を!
ボクはそこで立ち上がりました。
十円玉が発する奇妙な力なんて、もう感じていませんでした。
『この人たちを持って行きたいなら、まずボクから奪ってみろ!』
そう叫んだボクは、皆の指を十円玉から払いのけ、そして、下に敷いた和紙を乱暴にひっつかみました。
それから……ボクが、どうしたと思います?
34 : ◆E31EyGNamM [saga] :2013/08/27(火) 23:39:50.06 ID:IIFxKxT5o
紙をびりびりに破いて、呑み込んだんですよ。
硬い紙をもっしゃもっしゃと無理矢理かみ砕き、嚥下したんです。
さすがに十円玉はお腹を壊しそうだったので、呑み込まずに窓から捨てましたけどね。
皆は、ボクの突飛な行動にあっけにとられて、なにも言えずに固まっていましたっけ。
悲鳴を上げていた彼女さえ、ぽかーんと口を開けてボクを見ていたのが、思い出されます。
結局、悲鳴を聞いて駆けつけてきた先生方にボクたちは解散させられて……。
その後は……。
小梅さんには申し訳ありませんが、なにもありません。
実害と言えば、その晩に、ちょっとボクのお腹が痛かったくらいですかね。
まあ、こっくりさんといえど、カワイイボクには敵わないってことでしょう。
ええ、そうですとも。
35 : ◆E31EyGNamM [saga] :2013/08/27(火) 23:41:08.45 ID:IIFxKxT5o
ほたる「ええと……」
茄子「輿水さんはとても優しい方ですね」
小梅「う、うん。さっちゃんはとてもいい人……」
ほたる「でも……。いきなり悲鳴を上げだしたり、生贄にするとか言われちゃうのは……怖いです」
小梅「うん……。こっくりさんは手軽だから……みんなやろうとするけど、それだけに……怖い」
茄子「たとえ霊的ななにかがなくとも、年頃の子が思い込みの強さから暴走したりとか……ありますからね」
小梅「そう……。それに、降霊術として作用しちゃったら、もっと……危ない」
ほたる「そのあたりは……聞いてみたいようなそうでないような……」
茄子「実際に、いろいろなお話がありますからねえ」
小梅「うん……。つ、次のコーナーでは、こっくりさんをはじめとした『遊び』から始まった怖い体験談について……」
第二十七夜 終
37 : ◆E31EyGNamM [saga] :2013/08/27(火) 23:42:17.68 ID:IIFxKxT5o
本日は以上です。
幸子は男前。
39 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage] :2013/08/27(火) 23:49:19.72 ID:zhkI5Op3o
ふぇぇ……さっちゃんかっこいいよぉ……
41 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage] :2013/08/28(水) 02:07:13.79 ID:pn6+gi8i0
さっちゃん強いな
乙
43 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage] :2013/08/28(水) 03:43:50.96 ID:jXFXYXAO0
(よかった…さっちゃん友達おったんやな…)
最初に小梅ちゃんが幸子の事さっちゃんって言っちゃうのがかわいい
転載元:小梅「白坂小梅のラジオ百物語」Season3
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1377432933/
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幸子はCDのドラマパートだと電気消されて雷の効果音くらいでビビりまくってたけど、
ダイビングするくらいだしイザとなったら腹が据わるんだろうなあ
ダイビングするくらいだしイザとなったら腹が据わるんだろうなあ
[ 2013/08/29 12:29 ]
[ 編集 ]
25064
▼返信コメ
僕から奪ってみろ、って台詞を最初に私から祟れってとるか、自分から友達を奪ってみろでとるかで怖さが変わるな。
幸子がぼっちってイメージが強すぎてついつい考えちゃう
幸子がぼっちってイメージが強すぎてついつい考えちゃう
[ 2013/08/30 00:42 ]
[ 編集 ]
25563
▼返信コメ
コックリさんはコックリさんって言う、皮を作ってその中に付近の雑多な霊魂をぶち込んで擬似的な神を作りだす儀式だってオカルト好きな友人が昔いってたな。
[ 2013/09/10 20:26 ]
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強い言葉に悪霊は弱いと言うよな。
さっちゃんみたいな超自信家が本気で怒ったらそりゃこっくりさんで呼ばれるレベルの悪霊はひとたまりもあるまいよ。