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2013 06/15

小梅「白坂小梅のラジオ百物語」Season 2 第十九夜




97VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2013/06/14(金) 21:38:30.00 ID:4A7ohWuDo



第十九夜 鳴き声


茄子「それでは本日もアイドル百物語へと参りましょう」
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ほたる「今日は……どんなお話なんでしょうか?」
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小梅「今日……というか、今日から、猫特集……」
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ほたる「特集ですか」

茄子「はい。実は今日から三回分はどれも猫にまつわるお話なんですよね」

小梅「うん。たまたま……だけど」

ほたる「……でも、たしかに怪談話で猫のお話はよく聞きますね。猫又……とか」

茄子「鍋島化け猫騒動、なんてのもありますね」

小梅「猫は飼っていても不思議な生き物だから……。よく不思議なお話になる」

茄子「結構忠義ものだったりしますよね。飼い主さんの仇を討とうとしたり」

小梅「うん。猫は家につくっていうから……。そのあたりから、家を守るものとして意識されることも……ある」




前スレ
小梅「白坂小梅のラジオ百物語」Season 2 第十八夜
シリーズスレ
白坂小梅のラジオ百物語





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98VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2013/06/14(金) 21:39:09.36 ID:4A7ohWuDo




ほたる「……昔の感覚だと、家は場所だけではなく、一族とかも含まれてくるんでしょうか……」

小梅「う、うん。怪談として発展する場合は、そういうことも……多い」

茄子「とはいえ、そういったお話はこの後のコーナーでも存分に楽しめますので、まずは、今日のお話に参りましょうか」

小梅「今日は木場真奈美さん」

茄子「ほうほう。真奈美さんはいろいろと逸話がありそうな……」

ほたる「……猫にまつわるどんなお話なのでしょう?」

小梅「ええと……。鳴き声のお話をしてくれる」

ほたる「……鳴き声、ですか。かわいいですよね。にゃーお……って」

茄子「でも、夜中に急に聞こえてくると、どきっとします」

小梅「鳴き方も……いろいろ」

茄子「そうですね。今回は、さてどんな声なのでしょう」

ほたる「それではお聞きください」





99VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2013/06/14(金) 21:39:58.76 ID:4A7ohWuDo



木場真奈美(25)
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○一言質問
小梅「海外のお化けと日本のお化け……どっちが好き?」
真奈美「どちらも……好きとは言い難いな。脅かさずにいてくれたら、共存は可能だと思うがね」





100VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2013/06/14(金) 21:41:21.17 ID:4A7ohWuDo



 さて、今日は怪談だったか。

 知っているかもしれないが、私は前職がスタジオボーカリストでね。
 なぜか録音スタジオや舞台といった所は怪談が多いもので、いろいろと知っているほうだと思うよ。

 ああいう所は、感受性の強い人間が集まるものだから、どうしてもそうなりがちなんだろうね。

 ただし、そうしたありがちな話は他の人間からも聞けることだろう。
 だから、今日は私の体験談を語ろうじゃないか。

 さて、君は海外に行ったことはあるかい?
 ふむ、仕事以外ではないか。

 それではあまり実感はないだろうが、それでも注意をいろいろと受けているはずだ。
 常識が違うから気をつけるように、とね。

 実際の所、日本のように治安がよく、皆がそれなりのモラルを保っている場所は、滅多にない。
 どこに行ってもそれほど危険度が変わらないなんてのは、実に珍しいものだ。

 これも、少々治安の良くない国でのことさ。





101VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2013/06/14(金) 21:43:08.77 ID:4A7ohWuDo



 とはいえ、そういった国でも、安全はちょっとした注意と金銭で購うことが出来る。
 家賃の相場は高いが治安のいい地区に住み、注意を払っていれば、大きな危険からは逃れられるものだ。

 その頃の私は駆け出しで、それほど金銭的余裕はなかったが、少し無理してでも居住地域を良いところにしたものさ。
 外国人だけに、余計気を遣ったというところもあるね。

 しかし、当時の友人の一人は、まるでその部分にお金をかけなかった。
 彼女が、その国の出身だったからかもしれない。

 いずれにせよ、ずいぶんと治安が良くない地域に住んでいたものさ。

 これは、そんな彼女の部屋を訪ねた折りの話だ。

 正直、その地区に行くのは神経が張り詰めるので、あまり好きではなかった。
 だが、それでも彼女とは仲が良くてね。
 誘われて彼女の家を訪れる度、いい加減に引っ越せと言うのがくせになっていたものさ。

 その日は、朝から彼女と待ち合わせて出かける予定だったのさ。
 だが、急に彼女に用事が入って、それが終わるまで彼女の部屋で私が待っていることになったんだ。





102VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2013/06/14(金) 21:44:44.33 ID:4A7ohWuDo



 他人の部屋で過ごすというのは落ち着かないが、物珍しさもある。
 私は後で文句を言われない程度に気をつけながら、部屋を巡って物色していたりしたよ。

 それは、そろそろ昼食の心配をし始めた頃のことだったか。

 ドアの向こうから猫の鳴き声が聞こえてきたんだ。
 甲高い、寂しげな声。

 そう……。
 何度も何度も鳴いていたよ。

 そうしてしばらくすると、ドアの下あたりが、かりかりと音を立てた。
 おそらくは、爪でひっかいているのだろう。
 そう、思わせる音だ。

 鳴き声だけだったら、どこか別の部屋の人間が飼っているのだろうと気にならなかった。

 だが、爪でひっかいてくるとなると……。
 そこまでして中に入りたいと思っているのはなぜか、と気になってくる。

 たとえば私が聞いていないだけで、彼女が飼っている猫かもしれない。
 あるいは、隣室と間違えていたりするのかもしれない。

 いずれにしても、様子だけは見ておこうと思って、ドアに近づき、ドアスコープを覗いた。
 猫ならば見えるはずはないが、これは癖になっていたからね。





103VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2013/06/14(金) 21:45:47.73 ID:4A7ohWuDo



 そうしたら。


 ドアの向こうに、女が立っていたよ。


 黒目ばかり大きくなった瞳で、こちらをじっと見つめながらね。

 驚いて目を離し、そして、再び、ドアがかりかりと音を立てるのを聞いて、ようやく悟った。
 ドアの向こうにいる女が、あの鳴き声も爪音もやっていたのだと。

 もう一度覗くことはしなかった。
 ただ、息を殺して、気配を探っていたよ。

 いい加減あきらめたのか、なんなのか。

 足音がして気配が去っていった頃には、私の背中は汗でびっしょりと濡れていたな。
 その後、家主が帰って来た時には、部屋にあったショットガンを手にしながらドアをあけたくらいだ。

 驚く彼女に事情を話し、すぐさま私の部屋に連れて行った。

 どう考えてもあの女はまともじゃなかった。
 友人をそんな人間がうろついているところに置いておくわけにはいかないからね。





104VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2013/06/14(金) 21:46:27.13 ID:4A7ohWuDo



 結局……それは正解だった。

 数日後に、二人で彼女の部屋に荷物を取りに行った時、私たちは見たんだ。
 アパートの前にたくさんのパトカーが止まっているのをね。

 彼女の部屋の一階下で、住人がドアを開けてしまったらしい。

 女は住人を突き飛ばして部屋に入り込むと、リビングの真ん中で、持参した包丁でもって滅多差しにしたんだそうだ。

 いやいや、住人を、じゃない。


 自分の腹と顔、そして、最後に喉を、ね。





105VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2013/06/14(金) 21:47:10.48 ID:4A7ohWuDo




ほたる「こ、これは……怖いです」

茄子「死に場所を求めて……ということでしょうか。それにしても……」

小梅「……たぶん、いろいろとおかしくなってたんだと……思う」

ほたる「それにしたって猫のふりをして部屋にあがるなんて……。しかも、自分を傷つけるために……」

茄子「どういう心境なのでしょうか……」

小梅「……えっと……。おかしな人の考えは、理解しようとしちゃ、だめ。普通の人間にはわからないし、わからないほうがいいんだって」

茄子「そうなのですか?」

小梅「うん。プロデューサーが……教えてくれた」

ほたる「……たしかに、わからないほうがいいことって……あるのかもしれません」

茄子「うーん……」

小梅「でも、気をつけないといけないのは……たしか」

茄子「そうですね。確認は大事です」

ほたる「……ええ」

茄子「さて、今回のお話は猫そのものではありませんでしたが、この後のコーナーでは、本物の猫にまつわる不思議なお話を……」



 第十九夜 終





106VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2013/06/14(金) 21:47:40.60 ID:4A7ohWuDo


本日は以上です。
真奈美さんはいつSRになるんですかね。
作中にあるとおり、次とその次も猫関連です。





107VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage] :2013/06/14(金) 21:48:45.39 ID:NVSA42Nd0


前回と比べて今回は怖すぎる






転載元:小梅「白坂小梅のラジオ百物語」 Season 2  
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1370268734/


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AFTER やよい「うっ、うっ、うっうーーーー産まれるーーーーっ!!!」

BEFORE 龍崎薫「なつやすみのしゅくだい」

いやーこういった話はどんどん知りたくなるね。
怖いもの見たさというかなんというかさ
[ 2013/06/15 03:03 ] [ 編集 ]
瞳孔散大してる女のドップを想像したらガチホラー
[ 2013/06/15 03:07 ] [ 編集 ]
ゾクゾクきた。
マジで。
[ 2013/06/15 06:17 ] [ 編集 ]
ちゃんみおからの落差でか過ぎんよ〜
[ 2013/06/15 08:04 ] [ 編集 ]
空気清浄機の次だから怖過ぎる……
[ 2013/06/15 10:10 ] [ 編集 ]
礼子さんのもだけど年長者組のはガチで怖いな。
心霊や妖怪や逸話ものじゃなく実際の事件(を元に話を組み立ててるであろう)ものは。
川島さんも前職がアナウンサーだから色々とこういうの知ってそう。
[ 2013/06/15 10:42 ] [ 編集 ]
瞳孔が大きいならまだ良い。
黒く見えたのが実は眼孔だったとかよりは
[ 2013/06/15 18:38 ] [ 編集 ]
近所の精神病院で看護師のボールペンを奪った薬中患者が、自分の首、喉、目にボールペンを突き立てて自 殺した話を聞いたことがあるけど、それと同じような感じかな?
ちなみに目の前で自 殺された看護師は、別の病棟に入院するハメになったらしいが……。
[ 2013/06/15 22:17 ] [ 編集 ]
私、いつも次のコーナーが気になります!
[ 2013/06/15 22:18 ] [ 編集 ]
※21804
そんなの目の前で見たら壊れてもおかしくないな…
[ 2013/06/15 23:41 ] [ 編集 ]
ハンドガンじゃなくショットガンが出て来る所が全く現地っぽいなw
素人同士で狭い屋内においては有利らしいしな

No.21804
系統がそれっぽい上に、何でこうなったのか不明な分また達が悪い。
そういう精神的被害を免れてる分マシなのかも知れんが
[ 2013/06/16 00:09 ] [ 編集 ]
この作者はマジにすごいな、尊敬する
あと木場さんの一つ一つの対応が男前すぎる
[ 2013/06/17 01:26 ] [ 編集 ]
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