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2013 05/02

小梅「白坂小梅のラジオ百物語」 第八夜



93VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2013/04/28(日) 14:41:50.71 ID:x/e+9jKho


第八夜 首


茄子「本日も、アイドル百物語のお時間となりました」
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ほたる「今日のお話は……?」
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小梅「きょ、今日は、家に伝わる……話」
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ほたる「家に、ですか」

茄子「昔から続く家には、言い伝えというか、いろいろなお話が伝わっているようですね」

小梅「う、うん。家によっては地域にある話と……ちょっと違うとか、変化が、ある」

ほたる「世間ではこう言われてるけど……という感じですか?」

小梅「う、うん。そういうのも、多い」

茄子「歴史という意味で見ると荒唐無稽ですが、話としてみると家伝の話のほうが面白いとか、そういうこともよくあるようですね」

小梅「記録……と、記憶による伝承は、違う、から」

ほたる「……なるほど」

茄子「ところで、今日はどなたのところに?」

小梅「えと、佐久間まゆ……さん」

ほたる「では、早速……聞いてみましょう。どうぞ」





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94VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2013/04/28(日) 14:42:20.31 ID:x/e+9jKho


佐久間まゆ(16)
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○一言質問
小梅「赤……好きなの?」
まゆ「好きですよぉ。でも、ピンクも赤黒くなったりするのも好きですよぉ?」




95VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2013/04/28(日) 14:43:36.41 ID:x/e+9jKho


 怪談ですかぁ……。 
 まゆ自身はそういう経験ないんですよねえ。

 ああ、そうだ。
 怪談と言えるかどうかはわかりませんけど、我が家に伝わるお話でもいいですか?

 はい、そうですか。
 ありがとうございます。

 ええと、まゆの家系って、昔は武士をやっていたらしいんですよ。
 もうずっと昔ですけど。

 それで、江戸時代は、藩の中で、上の下から中の上くらいの役職をもらう家柄だったらしいんですね。
 ご家老さまとかそこまではどうやってもいかないけど、貧乏ってわけでもないってくらいですか。

 それで、ある人の時に、藩のお金を使い込んだって疑われたんです。
 ええ、もちろん、実際にはやっていなかったんですけど。

 役職の上でのことか、それとももっと別のことがあったのか。
 まゆのご先祖さまは、同僚に陥れられちゃったみたいなんです。

 ひどい話ですよね。

 でも、よほどうまく罠をしかけたのか、もしかしたら、賄賂とか汚いことがまかり通ったせいか……。
 ご先祖さまの無実の訴えは取り上げてもらえませんでした。

 当時の武家ですから……。
 そうですね。切腹です。

 切腹が決まると、その実行の日まで、他のお家に預けられるんだそうです。
 逃げられたり、勝手に死なれたりしたら困るんで、監視の目が届くところで軟禁されちゃうんですね。




96VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2013/04/28(日) 14:44:52.45 ID:x/e+9jKho


 ご先祖さまは、よりにもよって陥れた張本人の家にお預けになったそうです。

 その人が、上役になってしまっていたそうで。

 ご先祖さまに罪をなすりつけ、その人自身が横領したお金を賄賂としてばらまいて、高い役職を手に入れてたって話もあります。
 ただ、詳しくはわかりません。

 ご先祖さまも、その頃になると、その人の計略にはまってしまったということは察していました。
 きっと、悔しくてしかたなかったことでしょう。
 証拠を集めようにも、もはや身動きがとれない状況ですから。

 家人と会うことを許される数少ない機会に、ご先祖さまは必ず『仇は自ら取る』と言っていたそうです。
 聞く方はどういうことか、わからなかったみたいですけど。

 そして、切腹の当日。

 検分のために派遣された侍たちと、屋敷の主であり、己を策謀にかけた男が見守る中、ご先祖さまは自らの体に刃を突き立てました。

 そして、介錯の刀が振り下ろされ、その首は落ちるはずでした。


 ところが。




97VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2013/04/28(日) 14:45:41.14 ID:x/e+9jKho


 首は飛びました。

 刀で切り落とされた勢いか。
 あるいはもっと別の力が生じたのか。

 飛んだ首は仇である男の首にかぶりつきました。
 しかも、相手の首の肉をしっかりと噛み抜いたんです。

 頸動脈を噛みちぎり、首の肉の半分ほどをそぎ落とし、ご先祖さまの首は地に落ちて、そして、たしかに、にやりと笑みを刻んだとか。

 そう、ご先祖さまはまさに自ら仇を討ったんです。

 そして、これほどのことを成すとは、なにかあるに違いない、と改めて調べが行われ、無実が明らかとなりました。
 これによって、佐久間の家は存続したんです。




98VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2013/04/28(日) 14:46:53.79 ID:x/e+9jKho


 ……と、ここまでがおじいさまをはじめとした我が家の男衆に聞いた、表向きの話。


 佐久間の女にだけ伝わる裏の話が、あります。

 実は、ご先祖さまが切腹を申しつけられてから、実際にそれを行うまで、結構な期間があったそうなんです。
 藩の公式の行事とか……そういうものと近い日に切腹させるのはあんまりよくないと思われていたみたいですね。

 はい?
 血の穢れですかぁ?

 当時はそういう考えだったと。
 ふむ……。

 まあ、そんなわけで、延び延びになってしまっていたらしいんですね。

 考えてみてください。
 なにをすることも許されず、憎むべき相手の屋敷の一室に押し込められて、ただひたすら日々を過ごさなきゃいけないという状況を。

 気が滅入ってきてしまいますよね。

 怒りも憎しみも、なにかの動きがあるからこそ維持できるものなんでしょうね。
 ただただご飯を食べて生きるだけの日々では、そういう感情もすり減っていってしまうものみたいです。

 ご先祖さまも最初の頃は絶対に仇を討つのだという強い意志を持っていたようですが、それもだんだんと弱まっていってしまっていたみたいです。

 都合良く敵である元同僚が嫌味でも言いに来てくれれば、かえって奮起したのかもしれませんが……。
 顔すら見せなかったみたいですから。

 面会の度に調子が弱まっていく夫を、妻は出来る限り力づけようとしていました。

 しかし、いかに妻といえど、ずっと一緒にいられるわけでもありませんし、苦しみを分かち合えるわけでもない。




99VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2013/04/28(日) 14:47:55.74 ID:x/e+9jKho


 彼女の励ましは一時の力になっても、次に会った時にはその力は失われ、さらに弱っている夫の姿を見ることになっていたんです。

 ここに至り、妻は夫に打ち明けました。

『我が子は、あなたの胤ではありません』
 と。

 驚いた夫は、では、誰の子であるのかときつく問いただしました。
 妻は、言いました。

『この屋敷の主と密通いたしました』

 彼女は艶然と微笑み、冷然と言い放ちます。

『なぜ、あなたが策謀の犠牲となったのか。そして、それをはねのけることができなかったのか、ここに至るまでわからぬとは、なんと愚かしい』

 驚きを通り越し、自失する夫に、彼女はたたみかけます。

『我が子はいずれとある家の養子となることが、内々に決まっております。しかし、それは佐久間の血が残ることを意味しない』

 己を嘲笑う妻を、夫は恐怖の目で見ていたと言います。

『妻を寝取られたことにも気づかぬ愚かな当主のおかげで佐久間の家は絶えるのです』

 それだけを言い捨てて彼女は夫が閉じ込められている部屋を出、そして、その後、二度と屋敷を訪れませんでした。

 彼女が立ち去る時、背後から、獣の吠え声のような慟哭が聞こえてきたと言います。




100VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2013/04/28(日) 14:48:59.41 ID:x/e+9jKho


 そして、再び彼女が夫にまみえたのは、切腹のその場。

 もちろん、公に立ち会うことなどは出来ません。
 藩の重臣の一人が憐れを催し、彼女が密かに邸内に入れるよう手引きしてくれたのでした。

 顔を隠し、木陰に立っていたとしても、彼女の姿を見間違える夫ではありません。

 妻をにらみつける憤怒の相は、それはそれは恐ろしいものであったと伝えられます。
 さらに、仇を見る視線は、狂気に満ちていたとも。


 そして、夫の首は飛びました。

 しばらく後、夫の無実が明らかとなり、佐久間の家の継承が認められたその日、妻は己の喉を突いて、夫のもとへ旅立ちました。

 もちろん、妻は密通などしていませんでした。

 全ては、夫に本懐を遂げさせるため。
 自らが憎まれ、さげすまれることで、彼女は夫の意志を奮い立たせたのです。

 この話をしてくれた時、おばあさまは言ってましたっけ。

『男などというものはな、一度決めても心が萎える。私ら女はそれを支えていかねばならん。頭で考えるな。肚で思え』

 まゆもそう思います。

 男の人は、時に自分の気持ちさえわからなくなるものです。
 だから、そんなときはまゆが思い出させてあげようって、そう思うんです。




101VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2013/04/28(日) 14:49:32.56 ID:x/e+9jKho


茄子「ええと、その、なんといいますか……」

ほたる「せ、凄絶ですね」

小梅「う、うん」

茄子「亡くなってまで復讐を遂げた男の方もすさまじいですが……」

小梅「お、女の人は……よく、祟る」

ほたる「……たしかに……」

茄子「思いの深さ故、でしょうか……」

ほたる「背筋が……冷たいです」

小梅「つ、次のコーナーでは、有名な怪談の中の、女性の話を……」



 第八夜 終




102VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2013/04/28(日) 14:50:57.77 ID:x/e+9jKho


本日は以上です。
まゆの一族は思いの強い人ばかりでしょう、きっと!




103VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage] :2013/04/28(日) 14:51:43.66 ID:Rb2pvUHso




>佐久間の女にだけ伝わる裏の話
ラジオで話しちゃっていいのか?




106VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/04/28(日) 19:38:46.50 ID:91yTT8xho


>>103
時代がもうだいぶ違うからいいと判断したんじゃね?




104VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage] :2013/04/28(日) 14:58:55.76 ID:q7VS36dV0


切ない話が続くねえ……
まゆによく合ってるよ。




105VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage] :2013/04/28(日) 17:37:24.22 ID:YcYlkhT70


まゆの先祖なら納得してしまう



転載元:小梅「白坂小梅のラジオ百物語」  
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1365945798/

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実は俺、ちひろの婿なんだ。
お前らがSRを引けないのはなんてことない、俺が彼女に頼んでお前らの分も引いてたからなんだ。
[ 2013/05/02 02:54 ] [ 編集 ]
思いの強さがご先祖様から定向進化した結果wwwww
・・・Pがままゆの妻になれば丸くおさまる話だな。
[ 2013/05/02 03:19 ] [ 編集 ]
※19726
アイドル一同「そうはさせない」
[ 2013/05/02 03:47 ] [ 編集 ]
幽霊の正体見たり枯れ尾花じゃないが生きてる人間の方が余程怖いってな。
やむを得ない事故も含めて人同士で殺し合ってる数の方が、
居るか居ないか分からん幽霊や化け物より圧倒的に多いんだし。

あ、ままゆは一途で可愛いですよ(棒)
[ 2013/05/02 04:58 ] [ 編集 ]
こう言う話にリアリティを感じる辺り、男より女の一念の方が恐ろしいんだなと。

取り敢えずこう言う逸話がある訳だから、Pはままゆと結婚すb(グシャ
[ 2013/05/02 05:17 ] [ 編集 ]
凄い話だなぁ
[ 2013/05/02 09:46 ] [ 編集 ]
相変わらず短いながらも濃密な話だなぁ。
思わず佐久間氏調べてしまった。
[ 2013/05/02 15:10 ] [ 編集 ]
武家の間なら、一族を奪われるか守るかの戦争の一種みたいな状況だし、
だからこそ最後の手段として自決覚悟で夫を修羅にしたと…

ただ、欲ボケ横領馬鹿が出て来なければ
内助の功タイプな奥さんが居る夫婦が居ましたってだけなんだよな。
妻の狂気云々よりも、こんな事する羽目になるなんて…な方が印象になるな
[ 2013/05/02 17:42 ] [ 編集 ]
このシリーズよく出来てるよな、話の内容が語り手を務めるキャラとよくあってて、引き込まれる
[ 2013/05/06 06:33 ] [ 編集 ]
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