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2013 04/15

小梅「白坂小梅のラジオ百物語」





1VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/04/14(日) 22:23:18.38 ID:KIIoIuUro


第一夜 神在月

小梅「は、はじめまし、て。本日から始まりました、ラジオ百物語。パーソナリティの白坂小梅、です」
ほたる「アシスタントの、白菊ほたるです」
茄子「同じくアシスタントの鷹富士茄子です」

白坂小梅(13)
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白菊ほたる(13)
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鷹富士茄子[たかふじかこ](20)
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2VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2013/04/14(日) 22:24:03.64 ID:KIIoIuUro


小梅「こ、この番組は……みんなで怪談話を楽しむ……番組。でも、オカルト、だけじゃ……ない」

茄子「超常的なことに限らず、怖い話も、不思議な話も、変な話も楽しんじゃおうっていうことですね」

ほたる「幽霊さんのお話ばっかりじゃ……ないんですね」

小梅「う、うん。心霊関係も多くなる……と思うけど、それだけじゃ……ない」

茄子「怪談と言えるものならなんでもいいんですよね?」

小梅「そう……。あまり、ジャンルを限定するのは……よくない。当人が……わかってなくても、他の人が聞いたら……怪談っていうことも、ある」

ほたる「なるほど……」

茄子「なんでも楽しんじゃう姿勢が大事ですね!」

小梅「うん」

ほたる「楽しむ……。そうですね。それが一番ですね」

小梅「みんなで……怖がったり、ほっとしたり、驚いたりする。……楽しいと思う」

茄子「ですねー。ええと、それでですね。今日は第一回なので、お手紙などもありません。ですから、早速メインコーナーにいってみましょう」




3VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2013/04/14(日) 22:24:33.87 ID:KIIoIuUro


小梅「うん。この番組のメインは……アイドル百物語」

ほたる「このコーナーは、小梅さんが私たちの同業者……アイドルのみなさんの所に取材に行き、怪談を聞かせてもらう、というものです」

小梅「いろんな人に……会うのも、楽しみ」

茄子「そうですねー。ただ、今回は第一回ということで、アシスタントの私、鷹富士茄子の怪談になっています!」

ほたる「茄子さんは……あんまり怖い目にあってる印象が……ないかも」

茄子「あははー。そうですね、怖いっていうのとは違うかもしれませんが……」

小梅「さ、さっきも言ったけど、怪しい話であれば……いい」

ほたる「あ、そっか」

小梅「では、一人目……茄子さん、どうぞ」




4VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2013/04/14(日) 22:26:27.57 ID:KIIoIuUro


 はい。
 それでは、話させてもらいますね。

 これは、私が小梅ちゃんやほたるちゃんくらいの歳の……そう、六、七年前の冬のことです。

 学校から帰る道すがら、友達と別れた後のこと。
 ちょっと海を見ていこうと思って、浜に出たんです。

 ええ、すぐ近くにとっても気持ちのいい海岸があって。
 そうそう、日本の渚百選っていうのにも選ばれたことがあるくらいの場所なんですよ。

 冬でしたから、浜に出ている人は少ないだろうと思ってました。
 とはいえ、有名な場所なので、少しくらい観光客の人がいるだろうとは思っていたんですが。

 浜に出てみると、思った通り、ぽつりぽつりと観光客らしき人がいるくらいでした。

 そろそろ日が暮れ始めてもおかしくない時間でしたから、その人たちも引き上げようとしている感じでしたね。
 私は地元ですしね。ゆっくりと歩きながら、風を楽しんでました。

 冬ですから、一度暮れ始めるとすぐに暗くなっちゃいます。
 だから、空の色が夕焼けに染まり始めたところで、帰ろうと思って歩き出しました。

 ところが、少し行ったところで、なにかゴミ拾いをしている人たちに行き当たったんです。

 浜って、どうしてもゴミがたまるんですよ。
 観光客の人が気をつけててくれても、どこかから流れ着いてくるのはどうしようもないものです。

 たまにボランティアの人たちがずーっと列になってゴミ拾いをしてくれたりするんですよね。
 私も気がついたときは拾うようにしてました。

 ただ、今回は大規模なボランティアの団体ということでもなさそうでした。
 人数も少なめでしたし、夕方にやるってのはあんまりないですからね。




5VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2013/04/14(日) 22:28:29.78 ID:KIIoIuUro


 でも、なんにしても海岸を綺麗にするのはいいことです。
 だから、私も手伝おうと思って、その人たちの集団から少し離れて、ゴミを拾い始めたんです。

 といっても、私はそんなに準備をしているわけではないので、小さいのを拾っては持っていたコンビニの袋に入れて、くらいでしたけどね。

 海に沈んでいく夕日が、あたりを橙色に染めあげていて。
 海に煌めく明るい橙と空からの暗い赤で、あたりがもうなんだかぼんやりしてしまうんですよね、そんな時って。

 近くでゴミ拾いをしている人たちの姿も、あまりよくは見えなくて。
 なんだか夕日を反射する光の柱がゆらゆら揺れているような感じでした。

 自分や、その人たちの影も長く伸びて、まるで、怪獣みたいにおっきな影になっていて。

 本当に、長く長く伸びるんですよ。
 ずーっと先まで……。

 そんな様子を楽しみながら、夢中になって拾っていたら、ふと声がかかりました。

『お嬢さん』

 はい、と顔をあげました。
 その途端、びっくりして声を無くしちゃいました。

 なにしろ、あたりはとっぷりとくれ、声をかけてくれた人の顔も見えないくらいに真っ暗で、空には星がきらきら輝いているんですから。

 そんなはずはありません。
 だって、顔をあげるまでは、夕日を頼りにゴミを拾っていたんですよ?

 多少は暗くなっていたとしても、手元も見えないくらいになれば、すぐわかるはずなんです。

『手伝うてくれてありがとな。やけど、そろそろ自分は上がっとき』
『ここらが潮時よ』




6VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2013/04/14(日) 22:29:22.01 ID:KIIoIuUro


 私の記憶では、男の人も女の人も、歳を取っている人の声も、若そうな声もありました。
 それに、色んな地方の言葉で話していたと思います。

 ただ、口々に、早く帰るよう、彼らは言っていました。

『ごめんねえ、あなたがいるのに気づかずにいた私らが悪いんよ』
『わしらにつきあうと、こうなっちまうんだ』
『他所から来るから、せめて掃除でもしようとして、地元の子に迷惑かけてたら世話ぁない。すまんなあ』

 私が彼らの言うとおりに立ち去ることを告げると、最後にその人たちはそんなことを言って謝っていましたっけ。

 私はどういうことかよくわからず、とにかく家に急ぎました。
 遅くまでどこに行ってたって、お母さんたちに叱られちゃいますからね。

 ところが、家に帰ると、両親は目を丸くして、その後で、飛びついて来ました。
 大丈夫か、大丈夫か、って泣きながら……。

 私は目を白黒させながら、どういうこと? って尋ねました。

 すると、お母さんはあきれながら、こう言ったんです。

『お前、三日もどこに行ってたんだい?』

 って。

 私、ゴミ拾いを手伝ううちに、三日も姿を消していたそうですよ。


 おかしな、話ですよねぇ。




7VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2013/04/14(日) 22:30:12.56 ID:KIIoIuUro


小梅「か、神隠し……」

ほたる「ああ、ありますね……。いつの間にか何日も……っていうの……」

茄子「はい。両親も周囲も、最後は、神隠しと思うしかないってことになってました。家出するようなタイプには思われなかったみたいです」

小梅「冬の……いつ頃?」

茄子「十一月の上旬でした」

小梅「……あ。あの、そ、そこ、もしかして……」

茄子「はい」

小梅「えっと、稲佐の浜っていうんじゃ……」

茄子「あ、よく知ってますね」

ほたる「有名なところなんですか?」

小梅「……タケミカヅチが、オオクニヌシに国譲りを迫った、ところ」

ほたる「え?」

小梅「神話の……舞台」

ほたる「はあ」

小梅「それに……」

茄子「ほたるちゃん、旧暦の十月の異名を知ってますか?」

ほたる「え? あ……えっと、神無月……ですか?」

茄子「はい、正解です。でも、私の故郷、出雲では違います。神在月と言います」

小梅「日本中の神様たちが、出雲に集まる……。稲佐の、浜から……」

ほたる「え?……それって、え?」




8VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga] :2013/04/14(日) 22:30:57.33 ID:KIIoIuUro


小梅「か、茄子さんが会った人たちは……」

茄子「そう、なのかもしれませんね。私にはわかりませんけれど」

ほたる「も、もし、そうだったら……あわわ」

小梅「ふ、不思議」

茄子「私も、不思議です。はい、そんなわけで、アイドル百物語の第一回が終わりました。どうでしたか?」

ほたる「すごい……」

茄子「ほたるちゃん、進行、進行!」

ほたる「あ、ご、ごめんなさい。当番組では、今回のお話の感想のお手紙やメールに加え、各コーナーあての……」




 第一夜 終



転載元:小梅「白坂小梅のラジオ百物語」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1365945798/


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AFTER モバマスP「不器用な奴だ、本当に」 

BEFORE 安部菜々「当時は若く、お金が必要でした」 

茄子さんマジぱねぇ

神々の遊びしてきたワケだ
[ 2013/04/15 02:55 ] [ 編集 ]
いいねー
こういうゾッとする系の話好きだからもっと沢山書いてくれること期待してる
[ 2013/04/15 03:33 ] [ 編集 ]
おお~連続モノかな。これはかなり楽しみだ。
茄子ちゃんの幸運値ぱねえ
[ 2013/04/15 06:04 ] [ 編集 ]
幸子が犠牲になるのが目に見える
[ 2013/04/15 07:55 ] [ 編集 ]
あ、やべぇ、チョー面白かった。
続き期待。
[ 2013/04/15 08:16 ] [ 編集 ]
これはちょっと面白そう、期待。
アイドルによってガチホラーからギャグにもなりえるわけかw
[ 2013/04/15 09:41 ] [ 編集 ]
茄子さんなら集まってきた方々のもてなし役と言われても納得できてしまうのですが……。
[ 2013/04/15 10:18 ] [ 編集 ]
元スレ見てきたら百人やるつもりみたいなので期待。
十三怪談の人だから面白さも期待出来るしな
[ 2013/04/15 15:53 ] [ 編集 ]
つまり茄子さんは神様
[ 2013/04/15 16:21 ] [ 編集 ]
にょわにょわしたわ

アイドルのご当地怪談とか?
[ 2013/04/16 01:55 ] [ 編集 ]
※No.19036
むしろ新人(?)の神様と言われても信じられる。
……って、かみちゅか!
[ 2013/04/16 13:58 ] [ 編集 ]
地元がテーマってのはなかなか嬉しいな
[ 2013/04/16 23:15 ] [ 編集 ]
人間離れした幸運オーラが出てて神様も間違えちゃったんだね
[ 2013/04/18 13:27 ] [ 編集 ]
スレでは第3夜まで進んでたぞ
[ 2013/04/19 17:24 ] [ 編集 ]
ていうか、場所が場所だからヘタしたら某国による拉致って扱いもありえるんじゃ・・・
[ 2013/04/25 06:48 ] [ 編集 ]
神様が気付くのが遅れるくらい違和感なかったんだろうな
[ 2013/05/10 10:28 ] [ 編集 ]
というかこの体験で神の加護がついたとか…
[ 2013/05/23 01:41 ] [ 編集 ]
む、こりゃSSの書き手も読み手も色々な知識が必要になりそうな予感
でもモバマスのアイドル談となれば全国津々浦々の色々な「逸話」が聞けるかもしれないから、こりゃ楽しみだw

とあるSSでは古典文学を元ネタにしたモノもあったけど、古典って習ってないから、そんな所へ良作のSSとかに巡り会うと勿体ないなぁって思うんだよ(涙

[ 2013/05/26 21:39 ] [ 編集 ]
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